ポートフォリオ理論をわかりやすく解説(5)CalPERSとGPIFのポートフォリオに学ぶ

資産運用をおこなうことを考えた場合に、もっとも重要となるのは、どの資産にどれだけ投資するかというアセット・アロケーションです。

アセット・アロケーションで資産運用の成否の8割が決まると資産運用の世界では言われています。

ポートフォリオ理論について過去4回の記事で、わかりやすく解説しました。読んでいないかたは、以下の記事をどうぞ。

今回は、プロの投資家がどのようなポートフォリオを作って、実際に運用しているか見てみたいと思います。

世界的な年金基金では、多額の運用資産を資産運用業界のプロ中のプロが運用しているので、個人が資産運用をする場合に参考にしない手はないと思います。

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CalPERS(カルパース)のポートフォリオ

カルパースは、アメリカ合衆国のカルフォルニア公務員の公的年金基金です。公的年の中ではアメリカ最大の資産規模を誇ります。2018年3月末時点で運用資産残高は37兆円です。

また、その資産規模だけでなく、常に先進的な運用手法を採用しているため、全世界の金融機関から常にその動向が注目されています。

資産規模(平成30年3月末)(単位:兆円)

CalPERS(アメリカ)(カリフォルニア州職員退職年金基金) 37
CPPIB(カナダ)(カナダ年金制度投資委員会) 29
GPF-G(ノルウェー)(ノルウェー政府年金基金-グローバル) 110
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 156

(出典:GPIFホームページ

2017年12月に公表したCalPERSのポリシーアセットミックスは以下のようになっています。
50% Global Equity
28% Fixed Income
13% Real Assets
8% Private Equity
1% Liquidity

このポートフォリオのリスク(ボラティリティ)は11.4%で、期待リターンは7%となっています。2016年12月に今後3年間は、期待リターンを1988年からのリターン実績である8.4%よりも低くすることを決定していて、その決定と整合的だということです。

これ以上リスクを取ってリターンを上げるよりは、リターンを多少落としても安定性を確保したいというのが、趣旨のようです。

プレスリリース原文は以下です。

CalPERS Selects Asset Allocation for Investment Portfolio

GPIFのポートフォリオ

GPIFのポリシーアセットミックスは2014年10月に大幅に変更されました。

従来、7割ぐらいを日本国債で運用していましたが、2014年10月からは以下のように変更されました。

運用資産は現在156兆円と世界最大の運用資産を誇る年金が、株式や海外資産へのアロケーションを増加させたことによる世界のマーケットに与える影響は、非常に大きなものとなっています。

グラフ:国内債券(35%)、国内株式(25%)、外国債券(15%)、外国株式(25%)

また、オルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産など)についても、リスク・リターン特性に応じて国内債券、国内株式、外国債券及び外国株式に区分し、資産全体の5%を上限として行うという、方針も打ち出しています。

「実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの) 1.7%を最低限のリスクで確保すること。」を運用目標としています。

運用利回りの目標は、4.5%となっていて、対応するリスク(標準偏差)は、12.8%となっています。

詳しくは、GPIFが公表した「基本ポートフォリオの変更について」というプレスリリースを確認してください。

CalPERSとGPIFの比較

CalPERSとGPIFのポリシーアセットミックスを比較すると以下のような点が異なると思います。

  • ターゲットの運用利回りは、CalPERSのほうが高いが、リスク(標準偏差)は、CalPERSのほうが低い。
  • CalPERSのポリシーアセットミックスには、国内、国外という区分がないが、GPIFには国内、国外という区分がある。
  • CalPERSは、オルタナティブアセットへの投資割合が高い(Real AssetとPrivate Equityの合計は21%。他方、GPIFは、オルタナティブ投資という枠はなく、リスク・リターン特性に応じて国内債券、国内株式、外国債券及び外国株式に区分し、資産全体の5%を上限

GPIFはCalPERSを含む海外の主要な公的年金の2002年から2017年までの運用実績について公表しています。CalPERSのほうがGPIFより運用成績はいいです。この点、運用成績の違いについて以下のように説明しています。

各国の金利・為替水準や株式市況は違いがあります。例えば、日本は現在物価が極めて低く、また、金利も低水準にありますが、日本以外の国ではこれより高い水準となっています。

また、株式等のリスク性資産の保有比率も影響しています。各国の公的年金はそれぞれ国により運用目標が異なっており、その目標の違いにより株式等の保有比率が違っています。

【参考】
運用実績の推移

オルタナティブ・アセットは、一般的に、伝統的な資産(株、債券)と相関係数が低く(分散効果が高い)、流動性を犠牲にしている分、投資利回りが高いという特徴をもちます。

ですので、オルタナティブ・アセットをポートフォリオに入れることにより、リスクを抑えつつ、投資利回りを向上することが可能です。

個人への示唆

国内、国外という区分を捨てて、株式へのアロケーションはグローバルベースでやる。

現在、世界中の株式市場への投資が、インデックスファンドやETFなどにより低価格で簡単に行うことができます。低成長の日本にたくさんアロケートする合理性はなく、国内株という枠を設定する必要性はないと思います。

各個人のキャッシュフロー、投資開始時期、資産運用の目的に応じて割合は調整すべきであるものの長期投資の大半は、株式に投資すべき。

僕の場合は、老後資金をしっかり手当てして、今を楽しめるようにするための資産運用です。

なので、投資期間は20年超と長期になっています。GPIFが公表している上記の海外の公的年金の株式へのアロケート割合は、54%から82%とすべてGPIFよりも高くなっています。

株式、債券以外のオルタナティブ投資にもチャレンジする。

個人には難易度高いとは思いますが、長期の投資期間を確保したうえで、不動産などのオルタナティブ投資についても検討してみてもいいと思います。

 

 

 

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