ESG投資シリーズ⑤ どのようにESG投資をするのか?(1)

ESG投資とは何なのか?ESGがなぜ、欧米で普及して来て、そして、今、日本でも注目を集めているのか、ESGシリーズ①②で確認しました。

ESG投資シリーズ③では、ESGと同じように最近注目を集めているキーワードであるSDGsとESG投資との関係、それから、ESG投資シリーズ④では、ESGのEの中で最も優先順位度が高いと考えられる気候変動関連のイニシアティブについて確認しました。

まだ、読んでいない方は以下の記事をどうぞ。

ESG投資シリーズ① なぜ今、日本でもESG投資なのか?

ESG投資シリーズ② なぜ欧米諸国でESG投資が普及したのか?

ESG投資シリーズ③ ESG投資とSDGsの関係をサクッと説明できますか?

ESG投資シリーズ④ 気候変動に関するイニシアティブを理解する

今回のESG投資シリーズ⑤では、「ESG投資はどうやってやるのか?」という基本的な点をおさえたいと思います。

ESG投資はどうやってやるのか?

ESG投資というものが、そもそも、新しい概念なので、団体や人によって方法の整理や概念が多少異なる可能性があります。

また、その手法は、株式、債券、不動産などの投資資産タイプによっても異なります。

ですので、ESG投資というのは、ある単一の投資手法のようなものではなく、さまざまな方法を含む幅広い概念だと理解する必要があると、思います。

Global Sastainable Investment Alliance (GSIA)というESG投資を推進する国際的な団体では、ESG投資の手法を以下の6つに分類しています。

1.Negative/exclusionary screening:the exclusion from a fund or portfolio of certain sectors, companies or practices based on specific ESG criteria;
2.Positive/best-in-class screening: investment in sectors, companies or projects selected for positive ESG performance relative to industry peers;
3.Norms-based screening: screening of investments against minimum standards of business practice based on international norms;
4.ESG integration: the systematic and explicit inclusion by investment managers of environmental, social and governance factors into financial analysis;
5.Sustainability themed investing: investment in themes or assets specifically related to sustainability (for example clean energy, green technology or sustainable agriculture);
6.Impact/community investing: targeted investments, typically made in private markets, aimed at solving social or enviornmental problems, and including community investing, where capital is specifically directed to traditionally underserved
individuals or communities, as well as financing that is provided to businesses with a clear social or environmental purpose;
7.Corporate engagement and shareholder action: the use of shareholders power to influence corporate behavior, including through direct corporate engagement (i.e., communicating with senior management and/or boards of companies), filling or co-filling shareholder proposals, and proxy voting that is guided by comprehesive ESG guidelines.

GSIAが公表した「2016 Global Sastainable Investment Review」によると、ヨーロッパでは、Negative/exclusionary screeningが、USでは、ESG integrationが、日本では、エンゲージメントが最も割合が高いということです。

日本は、2014年に「スチュワードシップ・コード」が導入されたので、エンゲージメントの割合が最も高いことは合点がいきます。

GSIAの分類では、7つの分類がありますが、似ているものがあったりして少しわかりずらいところがあります。

ESG投資を専門とする水口教授の著書「ESG投資 新しい資本主義のかたち」では、以下の3つに大別しています。

こちらのほうが、分類が少なくわかりやすいと僕は思いますので、以下で紹介します。

①ESGの要素を考慮して投資先を選ぶポジティブ・スクリーニングやインテグレーション
②特定の企業や業種を投資先から外す除外やダイベストメント
③ESGに関連する株主エンゲージメント

世界的に普及しているESG投資の手法としては、「除外」が一番多く、次に「インテグレーション」、その次が「エンゲージメント」となっています。

上記のそれぞれについてもわかりやすく説明してくれています。まとめると以下のようになります。

①ESGの要素を考慮して投資先を選ぶポジティブ・スクリーニングやインテグレーション
ポジティブ・スクリーニングとは、ESGのレーティングの高い企業を選び、そこからさらに財務的な分析を行って投資先を決めるというものです。

業種ごとにESG評価の最も高い企業を選んで投資する方法もあり、これは「ベスト・イン・クラス」と呼ばれています。

日本では、そのようにして作ったファンドを投資信託とにして、エコファンドやSRIファンドの名前で一般向けにも販売しています。

最近、ポジティブ・スクリーニングに変わってESG投資の主要な方法の1つとなっているのが、インテグレーションです。

これは、通常の財務的分析のなかにESGに関わるリスクや機会の要素を組み込んでいくという方法です。

ESG投資ではない通常の株式投資のでも、投資先を選ぶ方法論は多種多様ですが、ふつうはマクロ的な経済環境を分析したり、企業の将来の業績や成長性を予測したり、そころから適正な株価水準を割り出したりということをして、投資先を絞り込んでいくことになります。

そのような伝統的な収益性や成長性の分析が財務的分析であり、その際にESGの要素も考慮するのがインテグレーションです。

②特定の企業や業種を投資先から外す除外やダイベストメント
投資先からの除外という方法は、日本ではなじみが薄いものですが、世界的にはESG投資の手法として、最も使われている手法です。
単に結果として投資していなければよいというものではなく、
投資判断の対象となる母集団のことを「投資ユニバース」といいますが、具体的な業種や企業を特定してこの投資ユニバースから外すことを「除外」といいます。

他方、最近では石炭産業などの化石燃料にかかわる企業の株式を売却するという動きがあります。これは、倫理的な観点から除外するアセットオーナーもいますが、むしろ長期的にみて投資リスクになると説明されることが多いです。

規範に基づく「除外」と区別して、このような売却を「ダイベストメント」と呼ぶことがあります。

③ESGに関連する株主エンゲージメント
エンゲージメントとは、アセットオーナーが会社と行う建設的な目的を持った対話です。
明示的な課題を設定し、達成すべき目的を定めて行うものです。
例えば、非公式の面談、公式の意見書の提出、経営陣との正式な会合などの方法があります。

また、最終的には株主総会での議案の提出に至ることもあり、これも広い意味ではエンゲージメントの一種と考えられています。

まとめ

ESG投資の手法は、大別して①ESGの要素を考慮して投資先を選ぶポジティブ・スクリーニングやインテグレーション②特定の企業や業種を投資先から外す除外とダイベストメント③ESGに関連する株主エンゲージメントという3つがあります。

実際の資産運用では、資産クラス(株式、債券、不動産等)や投資戦略(アクティブ、パッシブ)に応じて、複数のものを組み合わせて行われるため、ESG投資の手法は、かなり幅広い概念であるということがわかりました。

次回、アセットオーナーのニーズや投資戦略の違いによって、どのようなESG投資手法がありえるのか、みていきたいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です