ESG投資シリーズ⑥ どのようにESG投資するのか?(2)

前回、ESG投資シリーズ⑤ どのようにESG投資するのか?(1)で、ESG投資を行うための具体的な方法についてみてみました。

今回は、それらについて理解を深めるために、投資家の動機と手法の関係について、考えてみます。

ESG投資を専門とする水口教授の著書「ESG投資 新しい資本主義のかたち」で、わかりやすい記述があったので以下抜粋を記載させて頂きました。

投資家の動機として、大きく分けて以下のような動機に対して、どのような方法があり得るか説明しています。
①ESGリスクを避けるという動機 
②ESG要因を収益機会ととらえる動機
③ユニバーサル・オーナーの立場

ESGリスクを避けるという観点からは、除外とエンゲージメントが中心になる。ESGリスクのある企業を投資先から外すか、エンゲージメントを通じて投資先企業に対応を求めるのである。

これは、パッシブ運用でもアクティブ運用でも考えられる。また、アクティブ運用のスクリーニングやインテグレーションでも、リスク側面を考慮することは可能である。さらに、気候変動リスクのある株式をアンダーウエイトした「低炭素インデックス」も開発されている。これは、将来、気候変動リスクが顕在化したときのダウンサイド・リスクを小さくしたインデックス商品である。

次に、ESG要因を収益機会と捉える場合は、アクティブ運用でスクリーニングやインテグレーションを通じてアルファを追求することになる。また、アクティブ運用手法の一種として、エンゲージメントを通じて経営の改善を促し、企業価値を向上させて投資収益につなげるという方法もある。いわゆるエンゲージメント・ファンドがこれにあたる。ESGインデックスも、ESG要素を加味することで市場インデックスより高い利回りを期待する場合にはアルファ獲得を目指す方法と理解できる。

一方、ユニバーサル・オーナーの立場から環境や社会の問題などのネガティブな外部性を最小化することの帰結は、アルファの獲得ではなく、市場平均全体を引き上げるという意味で「ベータの引き上げ」であるといわれる。そのための代表的な手法は、パッシブ運用でのエンゲージメントとESGインデックスである。

同じ手法であっても、違う動機を持つ投資家の運用のために、それぞれ活用できる点が面白いと思います。ESG投資といっても、いくつかの手法があり、投資家の動機に応じて行われるので、しっかり理解するの難しいですね。

そもそも、まだ歴史が浅いので各社各様に整理していると思います。

上記の整理を見て、ぼくが思ったのは以下のポイントです。

エンゲージメントという手法は、投資家の動機にかかわらず、活用することができるため、ESG投資の観点から非常に有用な手法である可能性があること。他方、運用会社にとっては追加のコスト負担となるので、運用会社としてエンゲージメントをどのように自らのビジネスに位置付けるか、考える必要がある。エンゲージメントのためのリソースを確保し、ESG課題についてしっかりとエンゲージメントを行い成果を測定、報告することが、自社の強みとなる可能性がある。

除外やダイベストメントというのは、無責任のような気がする。上場企業ということは一定程度の規模の会社で、現在、その会社のサービスなどを利用しているお客入るし、働いている従業員やサプライヤーもいる。特に日本の場合は、特定の会社や業種を除外するのは、かなりハードルが高いのではないかと思う。

なので、そのような会社には、まず、エンゲージメントで問題の改善や事業戦略の転換を促すというほうが、社会全体としてプラスだと思う。

また、ESGインデックスも、投資家の動機にかかわらず、低コストで活用することができるので、非常に有用な手法ではないか。

GPIFのESG投資のスタンスは、ESGインデックスの活用とエンゲージメントの強化なので、GPIFや年金から仕事が欲しい運用会社は、エンゲージメントについてコンペティターより優れているということを、デモンストレートする必要がありそうです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です