ポートフォリオ理論をわかりやすく解説(1) – リターン(期待収益率)とは?

「DIY資産運用」を行うために、必須の知識となる「ポートフォリオ理論」について、わかりやすく解説していきたいと思います。

「ホールアースカタログに学ぶDIY資産運用」で、「DIY資産運用」についての考え方を書いてますので、まだ読んでいない方は一読してみてください。

なぜ「ポートフォリオ理論」を理解する必要があるか?
「ポートフォリオ理論」は1950年代に開発された理論で、それ以降、年金や金融機関などの金融のプロが資産運用を行う際に、使われ続けています。

「ポートフォリオ理論」について、詳しく知らない人でも、「分散投資」や「アセットアロケーション」という言葉は、聞いたことがあるのではないでしょうか。

個別の投資対象選定よりも、どの国のどの資産クラス(株、債券、不動産等)にどのくらいの割合で投資するのかを決める「アセットアロケーション」が資産運用では大切です。

DIY資産運用を行うには、第1に「アセットロケーション」を自分で決める必要があります。

ロボアドなどのアセットアロケーションを算定してくれる「ツール」などを活用して決めていくことになりますが、提案された「アセットアロケーション」がどのようなことを意味するものなのか、理解し納得するには、「ポートフォリオ理論」の知識が必要となります。

ざっくりと「ポートフォリオ理論」について解説
ユダヤ人の格言で、「すべての卵を1つの籠に盛るな」というものがあります。

卵を一つの入れ物に入れておくと、落とした時にすべての卵が割れてしまうことにたとえ、分散投資の大切さを説く格言です。

この格言で、感覚的に分散投資ということが資産運用において大切だということは理解できますが、実際どのように分散していくのがいいのか、これだけだと腑に落ちません。

「ポートフォリオ理論」は分散投資を行うことのメリットを数値的に説明を試みるものです。

テクニカルタームを使って説明すると、以下のようになり、何をいっているのか理解するのは難しいと思います。

最適なアセットアロケーションを行うことで、個別の資産に投資する場合に比べ、「リターン(期待収益率)」を一定に保ったまま、「リスク(標準偏差)」を下げることができる。

他の言い方をすれば、個別の資産に投資する場合に比べ、同じ「リスク」で、高い「リターン」を獲得できるような投資をアセットアロケーションによって達成することができる。ということになります。

「リターン」と「リスク」という言葉は、日常生活でもいろいろな場面で使われますが、投資における「リターン」と「リスク」という考え方について、しっかり理解している人は、少ないように思います。「リターン」というのは儲け、「リスク」というのは投資の危険度くらいに考えている人が多いのではないでしょうか?

「ポートフォリオ理論」や投資の世界での「リターン」「リスク」を理解するには、まずは、「期待収益率」「標準偏差」「相関係数」というような、少し難しいテクニカルタームを理解することが必要になります。

そこで、今回は投資の期待「リターン」を表す「期待収益率」について、できるだけ簡単に説明してきたいと思います。

「期待収益率」とは何か?投資の世界ででのような使い方をするのか?
「期待収益率」とは、「投資収益率」の「期待値」です。といってもこれではわからないですよね? 順番に説明していきます。

「投資収益率」とは、どのくらいの収益が投資から生まれるのかを表すものです。例えば、100投資して、1年間で108回収されたら、年率で8%の投資収益率です。

「期待値」というのは、確率上の見込み額です。ギャンブルをやったことがある人でしたら「還元率」という言葉を聞いたことがあるのではないのでしょうか。

例えば、掛け金200で、コインを投げて、コインの表が出たら200もらい、コインの裏が出たら200払うというギャンブルを考えてみましょう。

この場合の、表がでる確率と裏が出る確率は1/2なので、
「期待値」は、(200+200)/2 +(200-200)/2=200になります。

掛け金と「期待値」が一致するので、このようなギャンブルは、何回も行っていくと、損得が確率論的にはゼロになっていきます。

「還元率」は「期待値」を掛け金で割ったものです。上記の例では、「還元率」が100%になります。

日本のギャンブルの「還元率」については、ものによっても異なりますが75%以下のようです。

パチンコでいえば、平均85%程度のようです。台の選び方や打ち方などで「期待値」を上げることができるのかもしれませんが、確率論でいうと、負け戦であることが確実です。

少し、前置きが長くなりましたが、「期待収益率」について具体例なケースを用いて、計算したいと思います。

特定資産の1)将来の収益率と2) 好況、普通、不況になる確率について、以下のように予測したとします。

1) 収益率の予測
好況 20%
普通 5%
不況   – 20%
2) 好況、普通、不況になる確率
好況 30%
普通 40%
不況     30%

この場合の、「期待収益率」は、次のように算定されます。
20%×0.3+5%×0.4-20%×0.3=2%

この資産に投資することで、2%の投資収益が期待できることを意味しています。

投資の世界では、個別の資産投資の可否を検討する際に、「期待収益率」が0%以上でなければ、投資することに合理性がありません。ギャンブルや宝くじの場合は、「期待収益率」がマイナスになっていますが、熱狂的にハマってしまう人もいます。一攫千金というのは、人を興奮させるものです。

以下は、投資のプロである村上世彰氏の著書「生涯投資家」からの抜粋です。投資判断における「期待値」の考え方の重要性を端的に表しています。

私の場合は、すべてが「期待値」による判断なので、0円になる確率が五割を超ていても、勝率が一勝四敗でも、トータルリターンが1.0を大きく超えるかどうかで判断する。0円になる可能性が70%であっても、七百円になる可能性が30%あれば、期待値は2.1となるのだ。この期待値を的確に判断するには、投資対象の経営者の資質の見極め、世の中の状況の見極め、経験に基づく感など、実に様々な要素が含まれる。まずは、現状における「期待値」を導き出し、その「期待値」を少しでも上げるために、外部要因や将来予測などを冷静に見極めながら、様々な戦略を立てていくのである。

この期待値という観点から割り出すと、宝くじは0.3、公営ギャンブルは0.75、カジノは0.9強となる。これらの期待値は1.0を下回っているので、私は手を出さないことにしている。
(生涯投資家 村上世彰 )

仮想通貨への投資について村上氏にならって「期待値」で考えると、ゼロになる確率は50%以上あるかもしれませんが、何十倍から何百倍になる可能性もゼロではなく、僕の見立てでは「期待値」は1.0を大きく上回っています。

投資における期待リターンである「期待収益率」について、その意味と重要性が、理解できたでしょうか?

でも、投資を判断する際に、「期待収益率」だけでは、測定できない要素があります。次回以降は、それらを理解するために、「分散」「標準偏差」の考え方について解説したいと思います。

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