ポートフォリオ理論をわかりやすく解説(3)- 「相関係数」「シャープレシオ」とは?

前回、前々回で投資の「リターン(期待利益率)」「リスク(標準偏差)」について基本的な考え方を解説しました。

これらは、「ポートフォリオ理論」を理解するために、理解する必要がある重要な考え方のため、見ていないかたはご一読ください。

今回は、「ポートフォリオ理論」を理解するうえで、これまた重要な考え方である「相関係数」をみていきたいと思います。

「相関係数」とは何か?
ウィキペディアによると以下のように説明されています。

相関係数は、2つの確率変数の間にある線形な関係の強弱を測る指標である。相関係数は無次元量で、−1以上1以下の実数に値をとる。相関係数が正のとき確率変数には正の相関が、負のとき確率変数には負の相関があるという。また相関係数が0のとき確率変数は無相関であるという 。

たとえば、先進諸国失業率実質経済成長率は強い負の相関関係にあり、相関係数を求めれば比較的−1に近い数字になる。

2つの投資対象資産があった場合に、これらの投資対象資産の期待収益率が、「正の相関」(0以上1以下)にあるか、「負の相関」(0以下-1以上)にあるかが、分散投資を行う場合、重要になります。

「正の相関」の場合、期待収益率は同じ方向に動きます。1のときは、2つの資産のリターンは完全に同じ方向に動く。
「負の相関」の場合、期待収益率は逆の方向に動きます。-1のときは、完全に逆方向に動きます。
相関係数が、0の場合、資産間のリターンの動きに関係がありません。

分散投資によって投資のリターンの変動幅である「リスク(標準偏差)」を減らすためには、「相関係数」が小さい投資資産を組み合わせることが必要です。

以下では、具体的なポートフォリオの「リスク(標準偏差)」の計算方法を見ていきます。

2つの投資資産でポートフォリオを作った場合のリスクの計算方法
では、具体的に2つの投資資産でポートフォリオを作った場合の「リスク(標準偏差)」の計算法をみていきたいと思います。

ポートフォリオ全体の「分散」を求めたうえで、「分散」の平方根(√)である「標準偏差」を求めます。

投資資産Aの標準偏差をσa
投資資産Aの組入比率をA
投資資産Bの標準偏差をσb
投資資産Bの組入比率をB

とすると、ポートフォリオ全体の「分散」= σa^2×A^2+σb^2×B^2+2×「共分散」×A×Bで計算できます。

ここで、「共分散」は、
「相関係数」×σa×σbで求められます。上の式に代入すると

ポートフォリオ全体の「分散」= σa^2×A^2+σb^2×B^2+2×「相関係数」×σa×σb×A×Bとなります。

パートフォリオ全体の「標準偏差」は上記の「分散」の平方根(√)を計算したものです。

ここでのポイントは、相関係数が1の場合は、単純に投資資産Aと投資資産Bの「リスク(標準偏差)」の加重平均が算定されますが、相関係数が1より小さい場合には、単純な加重平均よりも全体の「リスク(標準偏差)」を小さくすることができる、ということです。

2つの投資資産でポートフォリオを作った場合のリスク・リターン表を作ってみる
国内株式と外国債券という2つの投資対象資産でポートフォリオを作った場合のリスク・リターンの関係について、みていきたいと思います。

国内株式、外国債券の「期待収益率」「標準偏差」、それから「相関係数」について、以下のような前提をおきます(GPIFの公表資料から拾ってきました。)

資産の組入割合を変化させることで、ポートフォリオ全体の「期待収益率」と「標準偏差」がどのように変化するか計算したのが、以下の表です。

基本的には、「リターン(期待収益率)」が大きくなるほど、「リスク(標準偏差)」も大きくなります。

しかし、国内株式が0.2、外国株式が0.8の割合の場合、
「リターン(期待収益率)」が1.76%で「リスク(標準偏差)」が10.98%になっています。

これは、国内株式0.1、外国株式0.9の割合の場合と比べてみると、
「リターン(期待収益率)」が1.58%で「リスク(標準偏差)」が11.08%とというリターン・リスクの組み合わせよりも、「リターン(期待収益率)」が大きいにもかかわらず、「リスク(標準偏差)」が小さくなっていることがわかります。

相関係数が1よりも小さい資産を組み合わせることで、「リターン(期待収益率)」を維持しつつ、「リスク(標準偏差)」を小さくすることが可能だということがわかりました。

基本的に、リターンはリスクに比例しますが、「リスク(標準偏差)」の程度のわりに、「リターン(期待収益率)」が高い組み合わせがあることが、わかります。

この程度を表す数値を、「シャープレシオ」といい、以下の式で算定することができます。「シャープレシオ」が大きいほど、リスクのわりに、リターンが高い効率的なアセットアロケーションといえます。

「シャープレシオ」= 「(リターン(期待収益率)」- 安全資産利子率)/ 「リスク(標準偏差)」

安全資産利子率をゼロと仮定すると、原点から以下のリターンとリスクの組合せ曲線に接するような直線を引いた場合の、接点がもっとも「シャープレシオ」が高いポートフォリオになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です