PRI(責任投資原則)と日本版スチュワードシップコード(責任ある機関投資家の諸原則)

PRI(責任投資原則)と日本版スチュワードシップコード(責任ある機関投資家の諸原則)って、日本語の題目が全く同じようになっていて、混乱している人がいるのではないでしょうか?

そもそも、このようなキーワードを知っている人は、金融や投資に関連している人で、「金融リテラシー」高めだと思います。

でも、PRIとスチュワードシップコードのコンセプトの重なる部分や異なる部分をしっかりと、理解している人は少ないのでは、と思います。

今回は、PRIとスチュワードシップコードの違いや関係について整理します!

PRIとスチュワードシップコードに関連する以下の記事を読んでない方は、こちらも確認してください。

スチュワードシップ活動の意義をわかりやすく解説

ESG投資シリーズ① なぜ今、日本でもESG投資なのか?

まず、両原則をざっと、一読してみましょう!

PRIの6つの原則

  1. 私たちは投資分析と意思決定プロセスにESGの課題を組み込みます。
  2. 私たちは活動的な株式所有者となり、株式の所有方針と所有習慣にESG問題を組込みます。
  3. 私たちは投資先に対してESG問題について適切な開示を求めます。
  4. 私たちは資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
  5. 私たちは本原則を実行する際の効果を高めるために協働します。
  6. 私たちは本原則の実行に関する活動状況や進歩状況に関して報告します。

日本版スチュワードシップコードの7つの原則

  1. スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべき
  2. スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべき
  3. 投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべき
  4. 投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の解決に努めるべき
  5. 議決権の行使を行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるべきでなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべき
  6. 議決権の行使を含め、スチュワードシップ責任をどのようにして果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対し定期的に報告を行うべき
  7. 投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべき

なんとなく似ているような、でも違うような。。。もやもやしませんか?

以下で整理してみます。

PRIとスチュワードシップの類似点、共通点は?

類似点、共通点は以下のような感じです。

1.対象
両者とも「機関投資家」と「機関投資家」に対してサービスを提供する資産運用会社などを対象とすること。

2.投資先への情報開示要求
投資先企業に対して適切な開示を求めること。

3.エンゲージメント
企業のオーナーである株主として、株主の権利を活用してアクティブに活動し、投資先企業との建設的な対話(エンゲージメント)を求めるものであること。

4.説明責任
活動状況や結果について公表すること。

まとめると、中長期的な視点で、受益者と投資先企業に対して「責任」を負って、いて、その責任を果たすために、エンゲージメントをしっかり行う、ということでしょうか。

PRIとスチュワードシップの相違点は?

1.設定主体の性質が異なる
スチュワードシップコードは、金融庁に設置された有識者会議によって策定されました。

他方、PRIは、世界の大手機関投資家グループが中心となり、事務局としての国連環境計画の金融イニシアティブ、国連グローバル・コンパクトからサポートを受けて策定されました。

日本のスチュワードシップコードはお役所中心、世界は機関投資家自身がルールを策定している点が、そもそもの経緯が違います。

PRIは、事務局があり、それを普及させるための活動を行っているし、資産運用業界へのPRI普及に向けた働きかけを行うことを要求しています。

2.集団的エンゲージメント
また、PRIはエンゲージメントの効果を高めるため、集団的エンゲージメントを求めています。スチュワードシップコードでも、原則の指針において、集団的エンゲージメントの有用性についても言及していますが、原則には入っていません。

3.検討対象
PRIが求める観点は、ESGですが、スチュワードシップコードは、ESG以外のことも含まれます。

4.投資前か後か
PRIは、投資分析や意思決定にESGの課題を組み込むことを要求しています。つまり、投資する前の段階についても取り扱っていますが、スチュワードシップコードは、投資後のエンゲージメントについて主に取り扱っています。

いかがでしたでしょうか。

これに限らず、金融の世界ではほぼ100%海外の考え方を輸入することが多いのですが、変な日本語約をつけようとするため、混乱を招くことが多々あります。

この際、輸入品については、変な独自色をつけず、そのままカタカナで持ち込むということに決めたほうがいいと思います。

 

 

 

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