スチュワードシップ活動の意義をわかりやすく解説

以下の文章がどんなことを言おうとしているかわかりますか?

GPIFにとってのスチュワードシップ活動の意義についての説明です。

横文字が多くて、金融業界以外の人にとってはなかなかわかりずらい文章だと思います。

「スチュワードシップ活動とは何なのか?」を理解するため、資産運用業界の今後の方向性を理解するため、個人として投資を行う場合にも、とても有用な説明だと思うので、わかりやすく説明したいと思います。

「ユニバーサル・オーナー」(広範な資産を持つ資金規模の大きい投資家)かつ「超長期投資家」(100年後を視野に入れた年金財政の一翼を担う)であるGPIFにとって、負の外部性(環境・社会問題等)を最小化し、市場全体が持続的かつ安定的(サステナブル)に成長することは不可欠。

GPIF自身は株式の売買および議決権行使は運用受託機関を通じて実施しているため、運用受託機関と投資先企業との「建設的な対話」(エンゲージメント)を促進することで「中長期的な企業価値の向上」が「日本経済全体の成長」に繋がり、最終的に「リターンの上昇」というインベストメントチェーンにおけるWin-Win環境構築を目指すことにより、スチュワードシップ責任を果たしていく。

GPIFは、株式について日本・海外株式の約90%をパッシブ運用しています。運用規模が大きすぎるのでアクティブ運用をすると市場へのインパクトが大きすぎて、うまく運用できない、というのが主な理由です。

ここで、パッシブ運用とは、日経平均などの指標と同じパフォーマンスを目指す運用で、どの株式に投資するか、また、どのタイミングで売却するか、などの個別の判断を行わず、指標と一致するように機械的に運用を行います。

とてもシンプルな運用なので、コストが安い!!のが特徴です。

アクティブ運用というのは、日経平均などの指標よりも良いパフォーマンスを目指す運用で、さまざまな投資戦略があります。

投資戦略の開発や運用において、パッシブ運用よりも手間がかかるのと、成功報酬型になっている部分もあり、コストはパッシブ運用と比べて高いです。

中長期の運用成果を比較すると、ほとんどの場合パッシブ運用にアクティブ運用は勝っていないといわれています。

なので、長期投資の基本は、コスパの観点から、パッシブ運用の商品とすべきです。

加えて、過去のパッシブとアクティブの運用実績を比べると、ほとんどのアクティブ商品が、パッシブ商品に負けています。

ちょっと脱線しましたが、GPIFは、パッシブ運用の投資家として、基本的には世界のマーケットに上場している主要企業に投資しています。また、途中で投資を完全に引き上げるということは、できません。

ですので、個別の企業の株価ではなく、世界の株式市場全体の株価の上昇に興味があります。

そして、市場全体が安定的に成長するには、「負の外部性(環境・社会問題等)を最小化」が不可欠だと言っています。

例えば、超高収益で株価が上昇している企業があります。ただ、この企業は、環境を悪化させ、人権を無視して会社経営をしていたとします。

その場合、その企業が社会に対してマイナスの影響を与えることによって、社会全体の安定性や継続性が損なわれてしまいます。

結果として、その企業の株価が上がったとしても、株式市場全体の安定的な成長にとってマイナスとなってしまいます。

市場全体に長期に投資する「ユニバーサル・オーナー」としては、このような企業の経営に対して株主としての影響を行使して、「負の外部性を最小化」することが合理的な行動となります。

ここまでが前段の文章の説明です。

後段の文章を理解するには、「インベストメントチェーン」「スチュワードシップ活動」という言葉を理解する必要があります。

「インベストメントチェーン」とは?
商品が原材料から調達され、最終製品になるまでの一連の連鎖を「サプライ・チェーン」というように、投資のための資金が、最終受益者(従業員や国民など)→アセットオーナー(年金基金等)→運用機関→投資先企業と流れ、また、投資先企業の活動からのリターンが、資金提供者へと還元される、という双方向の資金の流れを「インベスト・メントチェーン」といいます。

「スチュワードシップ・コード」とは?
もともとこれは、イギリス発祥の考え方です。金融庁が2014年に日本版スチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則)を制定・公表しました。

コードの前文において、「スチュワードシップ責任」とは、機関投資家が、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、「顧客・受益者」の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を意味する。とされています。

「スチュワードシップ・コード」とは、機関投資家が、顧客・受益者と投資先企業の双方を視野に入れ、「責任ある機関投資家」として当該スチュワードシップ責任を果たすに当たり有用と考えられる諸原則を定めるものである。ということです。

つまり、コードに基づいて行動することによって、機関投資家は、「スチュワードシップ責任」を果たすことができることになります。

逆にコードに基づかない場合で、合理的な理由の説明がない場合、機関投資家は、「スチュワードシップ責任」を果たすことができません。

そして、この責任を果たすための具体的なツールが、「エンゲージメント」です。

GPIFとして、運用機関が投資先企業に対して、しっかりと「エンゲージメント」を行うことにより、投資先企業の中長期的な価値が向上し、その結果、中長期的な運用リターンが向上する。

そして、運用リターンによって増えた資金が、また新たな企業や市場に投資されていくという好循環が生まれ、経済全体が成長していくことを期待しています。

このことをインベストメント・チェーンにおけるWin-Win環境構築といっています。

いかがでしたでしょうか?

横文字が多くて、なかなかしっくりこないかもしれませんが、GPIFのような大規模な資金を運用するアセットオーナーのこのような行動の変化は、企業経営にも影響を与えて、企業で働く従業員にも影響があると思います。

もちろん、いい方向での変化だと、ぼくは思っています。

また、個人が中長期の投資を行う場合にも、このような考え方は示唆があるものだと思います。

 

 

 

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