VaRとは?プロ投資家のポートフォリオのリスク管理方法

個人が資産運用を行う場合に、プロの金融機関が行っているようなリスク管理を行う必要はないと思いますが、プロがどのようなリスク管理を行っているか勉強することは、個人投資家にとっても役に立つこともあると思ったので、勉強しました。

リスクの定義
一般的にリスク管理におけるリスクとは、目的・目標を達成に(マイナスの)影響を与える事象の発生可能性のことをいい、「影響の大きさ」と「発生の可能性」で測定されます。 どのくらいのリスクを負っているか否かを判断して、そのリスクを管理していくためには「リスクの計量化」が必要となります。

リスクの計量化
リスク事象の影響の大きさを金額換算して、発生の可能性を確率であらわします。 リスク事象の発生シュミレーションや統計的分析によってポートフォリオに与える影響を把握します。 現在の金融実務において、リスクの計量化に用いられる最も普及しているツールとして、VaR (バリューアットリスク)というものがあります。

VaR(バリューアットリスク)とは?
VaRは、日本語では、予想最大損失額といいます。1994年米国の投資銀行JPモルガンによって開発されたモデルです。当時、金融派生商品(先物・オプション・スワップ等)の取引急増による金融リスクの増加に直面しており、これを回避するため、リスクをタイムリーかつ分かりやすく表現できるツール整備を行う必要に迫られていたのです。そのために開発したモデルがVaRです。JPモルガンはVaRとVaRを運用するためのプログラムを開発するだけでなく、その手法について公開も行いました。
VaRは、今保有している資産を、今後一定期間保有し続けたとして(保有期間)、過去の一定期間(観測期間)のリスクファクター(株価、金利、為替等)の変動データに基づいて、ある一定の確率(信頼水準)の範囲内で、発生する最大損失額を、統計的手法により推定した値です。

過去のデータに基づいた統計的手法を用いた「確率」という概念を伴うリスク指標です。

VaRによって、ポートフォリオにどのくらいの損失が、どのくらいの確率で起きるか金額的に把握できる画期的なリスク指標です。

リスクファクターの変動について、過去のデータに基づく分析のため、客観性があると言われています。以下は、日本銀行金融機構局、金融高度化センターが公表している「リスクマネジメント(総論)」からの抜粋です。

信頼水準99%でVaRが算定されています。すなわち、この事例だと、将来の保有期間Tにおいて、99%の確率で、最大損失はVaR未満になるという意味です。

VaRの限界とその補完
VaRは、過去の一定期間のリスクファクターのデータに基づく、リスク管理指標であるため、過去になかったような事象が生じた場合等には機能しないので、将来の予測値としては限界があると言われています。

また、リスクプロファイルが多様化・複雑化しているため、複数の定量的なリスク指標と定性的な情報を組み合わせて複眼的にリスクを把握する重要性が増しています。

金融危機の発生後、VaRを過信せずに、「ストレステスト、シナリオ分析」の結果等を使って、リスクの状況を複眼的に把握、モニタリングすることの重要性が強調されるようになりました。

ストレステスト、シナリオ分析では、過去の最大変動の場合を想定したり、経営者の懸念事項やマクロ経済シナリオなど「フォワードルッキングな視点」をもって複数のシナリオを分析して、将来のリスクに備えることがポイントとなります。

さまざまな視点から多様なシナリオを想定することによって、事前に対応策を協議・検討しておくことが重要となります。

その他のポートフォリオのリスク管理のために、一般的に用いられる指標として「トラッキングエラー」というものがあります。

「トラッキングエラー」とは、ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差を示す指標で、標準偏差で表されます。この値が、大きいとポートフォリオがベンチマークと異なる動きをしていることを示します。

パッシブ運用の場合は、「トラッキングエラー」が小さいことが評価されます。
アクティブ運用は、ベンチマーク以上のリターンを目指しますので、ベンチマークからの乖離自体は、悪いことではありません。

ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差(アクティブリターン)をトラッキングエラー(標準偏差)で割って算定されるインフォメーションレシオが大きいほど、効率的にアクティブリターンが確保できていることになります。

個人投資家への示唆
VaR、ストレステストとシナリオ分析、トラッキングエラーというプロの投資家がリスク管理を行うリスク指標について、勉強してみましたが、同じことを個人が行うのは技術的にも時間的にも難しいですし、費用対効果を考慮しても、これらをそのまま使用するのはあまり意味のあることではないように思いました。

個人としては、最悪のシナリオを想定して、自分の生活が困らないかをシュミレーションすることが大切だと思います。

例えば、金利は当面上昇する気配がないですが、仮に金利が上昇した場合、どのような対処をする予定か?株式相場がリーマンショック急に下落した場合、どのような対処を行う予定か?自分の保有している資産内容、借入金額、収入や今後のライフサイクルにおける支出を考慮して、現在の自身のポートフォリオのリスクが過大ではないかなど、自分なりにシナリオ分析を行うことは必要だと思います。

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