図解 – 仮想通貨交換業者の規制をわかりやすく解説

仮想通貨交換業者への規制について解説します。

仮想通貨法の中身は、大きく分けて以下の3つになっています。

1.仮想通貨の定義
2.仮想通貨交換業の定義
3.仮想通貨交換業の規制

前回と前々回で、仮想通貨の定義仮想通貨交換業の定義について、確認したので、今回は、仮想通貨交換業の規制について、みていきます。「仮想通貨の定義」「仮想通貨交換業の定義」について記事もあわせて読んでみてください。

仮想通貨交換業者の登録制度
仮想通貨交換業者は、業者として登録を受ける必要があります。

登録制にすることによって、管理体制や財産的基礎が不十分な業者の参入を排除し、登録業者には継続的な監督官庁による監視が行われることになります。

登録の申請を行う業者は、登録申請書を内閣総理大臣に提出することになります。
財産的基礎として、登録申請業者は、資本金が1000万円以上、純資産額がマイナスではないということが要求されます。

内閣総理大臣は、登録申請書を確認して、業者が適切に業務を行う体制が整備されていない場合などは、登録を拒否することになります。

仮想通貨交換業の登録を受けないまま仮想通貨交換業を行った場合などは、罰則として、最大3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があります。

仮想通貨交換業者への業務に関する規制

登録が終わった業者は、仮想通貨に関する業務に関して、利用者を保護するために仮想通貨法上、様々な規制を受けます。

  1. 利用者の保護
    利用者を保護するために、利用者に対して仮想通貨などに関するリスクや取引手数料などの情報提供が要求されます。

    (取引を行うときに利用者に書面の交付等)
    ・取り扱う仮想通貨は、日本通貨または外国通貨でないこと
    ・仮想通貨がその価値を保証されていない場合は、その旨、保障されている場合は、保証するものの氏名、商号、その保証内容
    ・仮想通貨交換業者の商号および住所、登録番号
    ・利用者と行う取引の内容
    ・取り扱う仮想通貨の概要
    ・取り扱う仮想通貨の価値の変動により損失が生じるおそれがあるときは、その旨およびその理由
    ・利用者財産の管理方法
    ・利用者が支払うべき手数料等
    ・利用者からの苦情または相談に応じる営業所の所在地および連絡先
    ・外国通貨建て取引について、円換算金額およびその換算方法
    ・指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在する場合、その商号または名称
    ・指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在しない場合、苦情処理措置および紛争解決措置の内容
    ・その他取引の内容に関して参考となると認められる事項
    (取引を継続的に行うことを内容とする契約締結締結に際して、書面の交付)
    ・上記の記載事項にプラスして、契約期間と契約の解約時の取り扱い

 

2. 情報の安全管理(システムのセキュリティ対策、個人情報の安全管理)
仮想通貨交換業者は、業務の性質上、高度な情報システムに依存して業務を行います。利用者との仮想通貨の取引に関するデータや利用者の個人情報をシステム上で管理することになるため、システムのセキュリティ対策や取得した個人情報を適切に管理することが求められます。法令上では以下のようなことが要求されています。より具体的にどのような管理体制をと整えればいいかについては、事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)が参考になります。


・仮想通貨交換業の業務の内容および方法に応じて、電子情報処理組織の管理を十分に行うための措置を講じなければならない。
・利用者個人の情報の安全管理について適切な措置を講じなければならない。
・利用者個人に関する人種、信条、門地、本籍地などの特別の非公開情報を取り扱うときは、適切な業務の運営の確保、その他目的外の利用がないことを確保するための措置を講じなければならない。

 

3. 利用者財産の管理
仮想通貨交換業者は、利用者の財産(金銭、仮想通貨)を預かりますが、これらが適切に管理されず、業者の財産と混同されたり、紛失したりすることがないよう、以下のような適切な管理が求められています。
・利用者財産の管理について、①利用者の金銭については、銀行等への預貯金、金銭信託での管理することが要求されます。②仮想通貨については、業者自ら管理する場合には、利用者の分と自己の分を明確に区分し、かつ、各利用者毎に保有財産が直ちに判別できる状態で管理することが要求されます。
また、仮想通貨の管理について第三者に委託する場合であっても、第三者において、業者自ら管理するのと同様の方法で管理することが必要となります。
・また、分別管理の状況については、毎年一回以上、公認会計士または監査法人の外部監査を受けることが要求されています。法令上は、上記のとおり区分管理は求められているものの、仮想通貨の分別管理の方法として、利用者から預かった仮想通貨を保全するための供託義務、銀行との保全契約、信託契約の締結などは求められていません。そのため、仮想通貨交換業者が破産した場合、必ずしも利用者財産が保護(倒産隔離)されているわけでない点に留意が必要です。

4. 委託先に関する指導
仮想通貨交換業務の一部を第三者に委託する場合には、委託する内容に応じて、必要な措置を講じることが要求されます。
・委託業務を適切かつ確実に遂行することができる委託先に委託するための措置
・委託先に対する監督等を行うための措置
・利用者からの苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な措置
・委託先が業務を適切に行えない際のバックアップ措置
・利用者保護のために、委託契約の変更または解除等の必要な措置がとれるような措置

5. 指定仮想通貨交換業務紛争解決機関との契約締結義務
利用者からの苦情処理や紛争処理を適切に行うために、以下のような体制整備が求められています。
・指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在する場合には、その機関との間で仮想通貨交換業に係る手続実施基本契約を締結する措置
・指定仮想打通貨交換業務紛争解決機関が存在しない場合には、仮想通貨交換業に関する苦情処理措置および紛争処理措置
「苦情処理措置」とは、利用者からの苦情処理に従事する従業員に対する助言、指導を苦情処理の一定の専門的な知識を有するものに行わせること等を言います。
「紛争処理措置」とは、利用者との紛争解決を認証紛争解決手続により図ること等を言います。

 

仮想通貨交換業者への監督

1. 帳簿書類の作成および保存義務
仮想通貨交換業者は、以下のような帳簿書類を作成し、保存することが求められます。
①仮想通貨交換業に係る取引記録
②総勘定元帳
③顧客勘定元帳
④各営業日における利用者の金銭の額および仮想通貨の数量の記録
⑤各営業日における信託財産の額の記録
⑥分別管理監査の結果に関する記録
①から③の帳簿書類は少なくても10年間、④から⑥の帳簿書類は少なくても5年間保存することが要求されています。

2. 報告書
仮想通貨交換業者は、以下のような報告を監督当局向けに行うことが要求されています。
①仮想通貨交換業に関する報告書
事業概況書および仮想通貨交換業に係る収支の状況を記載した書面に分けて、事業年度の末日から3か月以内に金融庁長官に提出する必要があります。
これらの報告書を提出する際には、最終の貸借対照表、損益計算書およびこれらの書類に関する監査報告書を添付する必要があります。

②利用者財産の管理に関する報告書
事業年度の期間を3か月ごとに区分した各期間ごとに、当該期間経過後1か月以内に、仮想通貨交換業に関し管理する利用者の金銭の額および仮想通貨の数量その他これらの管理に関する報告書を作成し、金融庁長官に提出する必要があります。

3. 金融庁による立入検査等
金融庁は、仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、仮想通貨交換業者に報告や資料の提出を要求でき、また、仮想通貨交換業者の営業所などに立入調査をおこうことができます。このような調査は、仮想通貨交換業者の業務委託先についても行うことができます。

4. 業務改善命令
内閣総理大臣は、問題がある仮想通貨交換業者に対して、業務の運営または財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置をとることを命じることができます。

5. 登録の取消し・抹消・公告
内閣総理大臣は、①登録の拒否事項に該当するような場合②不正な手段によって登録を受けた場合③法令や処分などに違反した場合には、登録を取り消し、または6か月以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じることができます。
登録を取り消したときには、当該登録は抹消されます。また、これらの処分については、その旨の公告が行われます。

上記のとおり、業者からの報告書や社内の帳簿記録をベースに、金融庁は、検査を行い(オフサイト、オンサイト)、業務改善命令や登録の取消し・抹消・公告という権限を行使して、業者を監督します。

まとめ
利用者の観点から、重要なのは低価格で信頼できるサービスの提供を、仮想通貨交換業者から受けることです。

仮想通貨交換業者は、利用者が法定通貨を仮想通貨に換えるために必要となる販売所や取引所を運営しています。法定通貨しか持たない利用者が仮想通貨の世界に入るためのゲートウェイとして今のところ、非常に重要な役割を担っています。

そのため、今後、仮想通貨が広く世の中に普及していくためには、仮想通貨交換業者によって、低価格で信頼できるサービスが提供されることが必須であると思います。

2018年4月20日現在、16社の仮想通貨交換業者が登録されています。業者のバックグラウンドは、FX業者、大手ネット証券、独立系(金融系経営者、IT系経営者)、異業種からの参入などいろいろです。

新規参入組として、マネックスがコインチェックを買収、ヤフーがビットアルゴ取引所東京に出資したり、またLINEも参入を表明しています。

コインチェックの事件を受けて、金融庁のスタンスが規制強化に変化し、すでにいかがわしい業者の淘汰が始まっています。

今後、業者の信頼性ということが、取り扱い通貨の多さやコストの安さと同じくらいか、それ以上に重要になると思います。

16社というのは、ネット証券やFX業者の数と比べ明らかに多すぎだと思いませんか?

僕は、淘汰の過程で、不適切な管理を行っている業者が退出し、良い業者の規模が大きくなり、業者数が、ある程度少なくなることが健全だと思っています。

参考リンク
金融庁 仮想通貨関連情報まとめ
金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ報告」
資金決済に関する法律
仮想通貨交換業者に関する内閣府令
事務ガイドライン(仮想通貨交換業者関係)
日本公認会計士協会「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」
日本公認会計士協会「仮想通貨交換業者における利用者財産の分別管理に係る合意された手続業務に関する実務指針」
仮想通貨登録業者一覧

 

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